オーディオインターフェースは「10万円クラス」を勧めていた。高い機材ほど、やめるときに安くつく理由

オーディオインターフェースは「10万円クラス」を勧めていた。高い機材ほど、やめるときに安くつく理由

読了目安:約6分

ボーカルの録音について相談を受けると、いちばん多いのが「マイクとオーディオインターフェースは何を買えばいいですか」という質問でした。私はいつも、インターフェースだけは10万円クラスを選んでください、と答えていました。

付属のエフェクトは縛りプレイ、という話の最後で、機材を「出費」としてだけ考えないほうがいい、と書きました。今回はその続きです。

目次

相談で届くのは、1万〜3万円の機種

ココナラでミックスの相談を受けていた頃、インターフェースについては、たいてい「これを買おうと思っています」という機種が先に送られてきました。価格は、だいたい1万円から3万円の間です。

いちばん多かったのは、ヤマハのAG03でした。白い。フェーダーがついていて、コンプやリバーブも内蔵している、配信にも使われる機種です。使っている人が多いので、私も実機を触ったことがあります。

正直に書くと、かなりホワイトノイズが乗ります。実際に「ノイズが乗る」という相談を受けたこともありますし、メーカーもノイズへの対処法を案内しているほどです。録音機材でノイズが乗るのは、それだけで大きな問題です。使い勝手はとてもいいので、ライトに楽しむ方にはおすすめできます。ただ、本気で歌う方向けではないと思っています。

一方で、ひとつ上のAG06は、まったく別物に感じました。これを使っている知り合いがいて、その人が送ってくる声はかなりいい音です。マイクはAKGのC414の上位モデルで録っているようでした。高域がきれいなことで知られるマイクですが、私が驚いたのは中域のふくよかさです。処理をすると、ぐっと引き締まった声になります。

もうひとつ多かったのが、MOTUのM2です。3万円台で買えるので、かなりの人が買っているようです。私は実機を触ったことがないので、きちんと評価はできません。ただ、「この人はM2っぽいな」と思って聞いてみたら、本当にM2だったことがあります。マイクはオーディオテクニカのAT4040だったと思います。M2の実力を出し切れていない印象はありましたが、それでもあの価格帯であの音は、相当いいと思いました。

もちろん、1万〜3万円の機種でも、必要な機能は十分そろっています。iPhoneで録るより、ずっといい音で録れます。そのことは、最初にお伝えしていました。

それでも10万円クラスを勧める理由

そのうえで、「本当にいいものを、長い期間使いたい」のであれば、ひとつ上のレベルを勧めていました。

  • マイク:自分の声質に合うものを、3万円台から聴き比べて選ぶ
  • ケーブル:MOGAMIの2534
  • インターフェース:10万円クラスの中から選ぶ

インターフェースで私がおすすめしていたのは、RMEのFireface UCX(初代でも2代目でもOK)、Universal AudioのApollo Twin、Apollo Soloなどです。とにかくそのクラスを買ったほうが、確実に幸福度が高い。

音質がいいのはもちろんです。長年の使用にも耐えます。そしてもうひとつ、リセールバリューがしっかりつきます。買ったときに近い値段で売れる可能性が高い機材です。

これをお伝えすると、「その視点はなかったです」という返事がよく来ました。

機材の値段は「買値」ではなく「買値−売値」

機材を買うとき、多くの人は値札の金額を「出費」として考えます。でも、実際に払うことになるのは、買った値段から、手放すときに売れた値段を引いた分です。

たとえば、2万円のインターフェースを買って、数年後にほとんど値段がつかなかったとします。実際の出費は、ほぼ2万円です。10万円クラスのインターフェースを買って、数年後に7万円で売れたとします。実際の出費は3万円です。

値札だけ見れば5倍の差があるのに、実際に払った金額はそこまで変わりません。しかも、使っている間はずっといい音で録れています。

なので、「こんなに高いのを買って、本当に続けるのかな」と迷う人ほど、むしろ高い機材を買って、やめるときに売ることまで考えたほうがいいと思っています。もしやめることになっても、ハードルが低い。総額で見れば、払うお金が減るかもしれません。

リセールがつくかどうかは、ブランドと、機種そのものの評価で決まります。定番の名機は、中古でも欲しい人がたくさんいるので、値段が落ちにくいんです。

私のインターフェースは、メルカリで7万円

偉そうに書きましたが、私自身も最初から10万円の機材を買えたわけではありません。

前に使っていたのは、スタインバーグのUR12です。一番安いクラスの2チャンネルの機種でした。それがあるとき音飛びするようになって、壊れてしまいました。ちょうどそのとき、このインターフェースではもう無理だよね、という案件をやっていたので、買い替えるならこのタイミングだと思いました。

ただ、お金がありませんでした。10万円は出せなくて、出せるのは7万円くらい。新品にはギリギリ届きません。そこでメルカリで探したら、ちょうど7万円で、状態のいい中古が出ていました。

それが、今も使っているUniversal AudioのApollo Twin SOLOです。初代の、Thunderbolt 2接続の、シルバーの時代のものです。もう7年くらい使っています。

売った経験:ハードオフでも5,000円

機材を売った経験もあります。

大学のときに友達からもらった、ノベーションの49鍵のMIDIキーボードです。かなり長く使っていたのですが、そのうち、左側のモジュレーションやピッチベンドが、触ってもいないのに反応するようになりました。鍵盤を弾いた振動で動いてしまうようで、かけたくないモジュレーションやピッチベンドが勝手に入力されてしまうんです。

それを、ハードオフに持っていきました。メルカリに出せばもう少し高く売れたと思いますが、ハードオフですら5,000円で売れました。もらったもので、しかも不具合が出ている状態で、です。ノベーションはしっかりした有名メーカーなので、こういうところで差が出るんだと思いました。

余談:ペダルを踏んでいないときだけ、音が伸びる

今使っているMIDIキーボードは、ローランドのA-49です。かなり定番の機種です。私はそんなにピアノが上手くないので、49鍵で十分足ります。

これの何がいいかというと、鍵盤がとても静かなことです。前のキーボードは鍵盤がカチャカチャとうるさくて、プラスチックの音がしていました。A-49は、ピアノのようなハンマーアクションではないのですが、ふかふかしています。

ただ、ひとつ困ったことがありました。サスティンペダルです。前のキーボードは、どのメーカーのペダルを挿しても使えました。ところがA-49では、手持ちのM-AUDIOのペダルがうまく動きません。極性を切り替えるスイッチを使ってもダメで、何度やっても反転したまま。踏んでいないときに音が伸びて、踏むと止まる、というとても難しい演奏方法になってしまいました。

結局、少し高かったのですが、ローランド純正のペダルを買って挿したら、あっさり直りました。メーカーごとに、ペダルの信号の扱い方が少しずつ違うのだと思います。同じメーカーで作られているものは、やっぱり相性がいいようです。

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