現代日本で音楽家を目指すということ

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現代日本で音楽家を目指すということ

2019年現在、日本は衰退開始を目前に控えています。確実に蔓延している「不安」の雰囲気。これは誰もが感じていることでしょう。有権者のほとんが老人で、国は老人に向けた政策をせざるを得ません。若者が貧困であることは誰がいうまでもなく明確です。

そんな不安ベースの世の中で「音楽」はどのような位置付けで捕らえられるでしょうか。そもそも「音楽」は極論的に言えば”なくても良い”モノです。しかし誰もが求めるモノでもあります。しかし実態はなく、あるのは再現性と圧倒的な美しさだけです。

日本の文化形成の中でクラシック音楽が流行することはありません。北欧諸国ではクラシック音楽かが街から出るとなれば名誉なこととされています。しかし日本では「不安定」「食べていけない」「売れるのは一握り」「どうせうまくいかない」という消極的な見出しがずらりと並びます。これは仕方のないことです。クラシック音楽は日本が発祥ではないからです。

ではポピュラー音楽はどうでしょうか。日本人のほとんどがポピュラー音楽を楽しみます。年末になればテレビで定番の音楽番組が放送されますし、出場するミュージシャンの特集でさえ放送されます。これはアメリカやイギリスのポピュラー音楽文化を日本でも流行らすために動いた日本人がいたのが理由です。英語圏の音楽文化の表面を取り込み日本語と混ぜ独自に進んできたのが今のJ ~POPの文化です。

これら二つ「クラシック音楽」と「ポピュラー音楽」どちらの音楽家になるかで「食べていける」確率は変動します。日本人はまず初めにこの部分「食べていける」かどうかを気にします。”音楽の本当の存在意義はひとまず(数十年間)置いておきます”というスタンスなのです。

このスタンスでやっていくようでは本当の意味で音楽家になるのは厳しいでしょう。特に日本では。

日本に置いて”音楽で売れる”ということは「誰かに媚び諂う」必要があるのです。この事実自体を恥じるべきですが、そこはひとまず(数十年間)置いておきます。誰かに媚びる音楽はその誰かが死んだ時に力を失います。存在する意味がなくなるのです。音楽のそもそもの価値は再現性です。いつの時代でも誰でもどこでも演奏できてその美しさを感じることができるという空間芸術です。しかし媚びた音楽は媚びた誰かが死ぬまでの少しの時間しか存在する価値がないのです。これは本当の音楽ではありません。

「人は死ぬ。音楽は死なない。」

この美しさに気づけない音楽家は本当の音楽家とは言えません。

音楽家になってわかったこと

この国で、日本語で音楽をやっていくにはすべき事とその順番をしっかりと弁える必要があります。

1に、売れる事。

2に、好きなことをやる事。

そして好きなことを忘れない事。

この順番を守れなければ生き残っていけませんし、音楽という芸術を誰の目にも止まるような環境で発表することは叶いません。

1の売れる事。これはとても骨の折れる事です。そんなことはわかっていると言われるかもしれませんが、改めて言わせてください。なぜなら誰かに媚び諂わなければ売れることは出来ないからです。この国では誰かに媚びない音楽は決して売れることはありません。

2の好きなことをやる事。これは売れた先でようやくできるようになるのです。しかし、これは決して突然路線を変更してはなりません。新しいものを目の当たりにした日本人のほとんどは離れていきます。そう言う文化なのです。じわじわと気づかれないように、昔の方が良かったと言われながらもじわじわと本当にやりたいことを示していくほかありません。

この中で一番大切なのが、好きなことを忘れない事です。1をやっていても、2をやっていても本当に好きなことを忘れずに自分の芸術を信じ、突き詰め、進むことです。これが最も大切です。自分の芸術が媚び諂う体験によって疑わしく思えるようになってしまわぬよう常に心に置いて置く必要があるのです。

何のために音楽家として生きていくのか、誰のために音楽家として生きていくのか、疑問に思ってしまってはダメになってしまいます。

寿命のある音楽は芸術ではありません。

これから音楽家を目指す人に向けて

私は4年制の普通大学に通いながら音楽活動を始めました。活動を初めて4年目でようやく音楽だけで食べていけるようになりました。自分の書いた曲を売って生計を立てていました。それから事務所と専属契約をし、音楽プロデューサーとしてミュージシャンが世の中に出る手助けをする仕事し始めました。

自分のビジネスを持つことはとても大切なことです。基本的に私たちは売り物が労働力しかありません。バイトがその例です。働く時間を売ることでお金を得ていますね。音楽家を目指すのであれば、自分の売り物が何なのかを明確に理解する必要があります。

私の場合は次の物が売り物になります。
・作った音楽
・ミュージシャンを世の中に出すための知識
・音楽を作る知識
・人を楽しませる考え
・人を楽しませる歌声や演奏
このように明確にした上で、それぞれの商品の価値を高めていく必要があるのです。商品に不具合があれば修正し、改良を重ね良いものを提供することに努めるのです。

これから音楽家を目指す人は漠然と音楽家になるのではなく、自分の音楽の力によって何を産み出し、何を世の中にもたらしたいのかを考えると良いでしょう。あなたの産み出した商品が世の中の役に立つものであれあばそれは立派な仕事になりますし、食べていけるかどうかの愚問に答える必要もなくなることでしょう。

 

 

 

 

 

 

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